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監督処分基準の改定の動き [不動産関係]


監督処分基準の改定の動き

最近,宅建業違反に係る監督処分(行政処分)の基準となる「監督処分基準」を制定や改定した都道府県が多い。各都道府県で改定や制定された監督処分基準は、平成18年12月に国土交通省が制定して公表している監督処分基準をコピーしたものであることは。国土交通省や都道府県のホームページで確認できる。

これまでは、昭和40年代に東京都が作成したとされている監督処分基準を参考にして、各道府県がそれぞれの実状に応じた内容に修正した監督処分基準(以下「旧基準」という。)を定めていたとされている。この旧基準は、公表すると宅建行政において各種の弊害が生じる恐れが大であると考えられ、行政内部の基準として扱われ、各都道府県とも一般に公表することを拒んできた。

一方、国(当時の建設省)は、大臣免許の宅建業者の多くは、大手業者であり、悪質な宅建業者は少ないことから、監督処分の実績か少なく、監督処分基準を策定する必要性は低かったためか、監督処分基準を策定していなかった。監督処分する必要が生じた場合や処分基準を策定していない県に対する指導に際しては、東京都の旧基準を準用していたと思われる。その後、行政手続法が制定されたこと、地方整備局が設置され地方整備局で行政処分を行うようになったことから、国は行政手続法の要請に応じざるを得ず、監督処分基準(以下「新基準」という。)を制定し、これを公表するに至った。

では、非公表とされてきた旧基準はどのような内容だったのだろうか。標準的であったかどうかは別として、東京都の旧基準は、宅建業法に規定されている違反行為等に点数を付けて、違反点数が高点数の場合には重い行政処分に処するものであった。複数の宅建業法に違反する行為があっても単純に点数を加算するものではなく、最高点数の違反行為点数に一定割合を加算し、違反行為に係る情状により点数を加算や減点し、過去における監督処分の有無なども考慮して算出された点数により、監督処分を決定していた。監督処分は重い順に、免許の取消し、業務停止、指示、勧告指導となる。なお、業務停止は点数に応じて最長1年としていた。

①宅建業法に違反する行為を認定し、各違反行為の違反点数を確認する。
②複数の違反行為がある場合は、「最高違反点数の5割増し点数」と「単純に違反点数を加算した点数」のうち低い点数とする。
③過去5年以内に監督処分等を受けている場合は、どんな内容の監督処分を何年前に受けたかにより、一定割合の点数を加算する。
④悪質な行為や社会影響かある違反行為には、一定点数を加算する。
⑤違反行為後に是正や対応策を講じた場合には、相応の点数を減点する。

新基準は、旧基準と違って、複数の違反行為を行った場合に.総合的に評価せず、違反行為を分散化させ個別に評価して、それぞれの法違反に対して業務停止処分と指示処分や勧告の監督処分併せて行うため、全体として処分が軽くなる懸念がある。このため、社会的責任や法令遵守を重視する宅建業者の育成に貢献できる。しかし、これを軽視する宅建業者には処分が軽くなる傾向があると思われる。

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