SSブログ

団体信用生命保険の加入拒否と売買契約解約 [不動産関係]


団体信用生命保険の加入拒否と売買契約解約

最近、住宅ローンの融資を受ける場合、団信(団体信用生命保険)に加入することを融資の条件にしている金融機関が増えている。このため、住宅ローン融資申込先金融機関の融資条件を満たしているにもかかわらず、健康上の理由で団信に加入できないために、住宅ローン融資が受けられないことも発生している。そこで、金融機関によっては、団信に加入できない場合には、連帯保証人を付けることで融資する金融機関や団信加入なしで融資する金融機関もある。

住宅ローンを利用する不動産売買においては、重要事項説明において住宅ローンが成立しない場合の措置を説明する義務があるため、一般的な不動産売買契約においては、住宅ローンが不成立の場合には、売買契約は白紙解約となる(白紙解約できる)特約を付けて締結するため、住宅ローン融資を受けられない場合は、売買契約は効力を失い、支払い済みの手付金は全額返金されることになる。

しかし、団信加入の件については、宅建業法第35条第1項に列記されてなく、第37条の契約書への記載事項にも規定されていないため、売買契約書や重要事項説明書には何ら記載されることなく、何らの説明もされることなく売買契約を締結している事例が多い。このため、住宅ローンの融資が承認されたものの、団信への加入が拒否された場合に、売買契約を白紙解約になるのか(白紙解約できるか)否か不明であるため紛争が生じることがある。前述したように、団信への加入が拒否された場合でも、住宅ローン融資が可能な場合もあるため、ローン条項が適用されないと主張される場合もある。

しかし、団信は、買主である主たる所得者の不幸に際して、生存家族の生活を保護する制度であり、買主やその家族が加入を希望することは自然である。また、団信加入が一般化し特別な制度ではない。一方、団信加入の拒否理由は健康事由が一般的であるから、加入することなく住宅ローンという数千万円の借金することは、マイ・ホーム購入者にとって著しく不安状態に陥るため、住宅購入を諦めざるを得ないことは理解できる。つまり、サラリーマン家族等の一般的な住宅購入者にとって、団信加入できるか否かは、住宅購入の意思決定において、重要な事項である。

住宅購入の意思決定に重要な影響を与える事項は、取引主任者が説明すべき重要事項である。なお、団信について法第37条第1項に列記ないので相対的重要事項となる。このため、団信に加入を予定する買主に対しては、相手方の状況や必要性に応じて、「団信に加入できないときの措置」を説明する必要がある。この場合の措置は、特段の事情がない限り、白紙解約である。そこで、買主は、団信に加入できないときは、住宅ローンと同様に白紙解約を主張できる(但し、特段の約定した場合は約定による)。

(注意1)
法第35条第1項に列記されていない事項で、必要に応じて説明しなければならない重要事項のことを「相対的重要事項」という(例 自殺、他殺、事故、紛争等)。なお、法第35条第1項各号に列記されている事項は、全ての取引で、重要事項説明書に記載して説明しなければならないので、「絶対的重要事項」という。



コメント(0)  トラックバック(0) 

コメント 0

コメントを書く

お名前:
URL:
コメント:
画像認証:
下の画像に表示されている文字を入力してください。

※ブログオーナーが承認したコメントのみ表示されます。

トラックバック 0