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重要事項説明が不要な宅建業はあるか [重要事項説明書]

重要事項説明が不要な宅建業はあるか
(音声はこちら「宅建契約の話」)

ヒント
宅建取引(不動産取引)は、誰でもできる。
宅建業者でない者でも、宅建業を営業できる者がいる。
宅建業を禁じられている者が無免許営業することもある。

宅建業者が宅建業するとき、相手方に対して重要事項説明しなければならない(第35条1項)。
重要事項説明しなければならない相手方とは、
① 売買契約では、宅地建物を取得する買主のことである。
② 交換契約では、宅地建物を互いに取得するため交換契約の両当事者のことである。
③ 貸借契約では、宅地建物の借主のことである。
この重要事項説明義務には適用除外の規定や免除できる規定は存在しない。このため、相手方が誰であるかを問わず、必ず説明しなければならない。たとえ買主や借主が宅建業者や国・地方公共団体であっても説明しなければならない。
相対的重要事項については、宅建業者であっても、調査確認することが著しく困難な事項があるからである。
 なお、宅建業者が買主や借主となるときは、重要事項説明書を交付しなければならないが、宅建取引士により説明する義務はない。この場合の買主や借主となる宅建業者に、みなし宅建業者は含まれる。

 宅建業者が売買契約に関与する形態として、売主、買主、媒介、代理のいずれかであり、いずれの形態も宅建業となる。重要事項説明は、取得する者に対して、取得する宅地建物について説明する義務であるから、売買契約では買主に説明すれば足りる。売主に説明する必要はない。売買契約を媒介する宅建業者から売主に重要事項説明書を交付される事例が普及しているが、これは任意の行為である。

 交換契約に関与する形態として、交換の当事者、媒介、代理のいずれかである。いずれの形態も宅建業となる。重要事項説明は、取得する者に対して、取得する宅地建物についての説明であるから、宅建業者が交換契約の当事者となるときは、譲渡する宅地建物について説明すれば足りることになる。また、交換契約を媒介(代理)する宅建業者は、各当事者に対して、それぞれが取得する宅地建物についての説明すれば足りることになる。

 宅建業者が貸借契約に関与する形態として、貸主、借主、媒介、代理がある。しかし、貸借契約の場合は媒介(代理)のときだけが宅建業であるから、媒介(代理)するときだけ、借主に対して借りようとする宅地建物について説明すれば足りる。貸主には説明する必要はない。

 宅建業者に課した重要事項説明義務については、省略や免除できる例外規定は存在しないので、宅建業者による宅建業において重要事項説明する必要がないときとは、次の場合だけに限られる。
① 売買契約では、売買契約の当事者となる場合でも、媒介(代理)のときでも、売主に対して説明する必要はない。
② 交換契約では、交換契約の当事者となる宅建業者は、宅建業者が自ら譲受する宅地建物について説明する必要はない。媒介(代理)のときは、譲渡者に譲渡する宅地建物についての説明はする必要はない。
③ 貸借契約の媒介(代理)の場合は、貸主に説明する必要はない。

 ところで、宅建免許を受けることなく、正々堂々と宅建業を営業できる者がいる。みなし宅建業者と適用除外者である。この2者は宅建免許を受けることなく宅建業することを許されている。

 みなし宅建業者は国土交通大臣に届出することで宅建業を営む者である。宅建免許を持たないので宅建業者ではないが国土交通大臣免許の宅建業者とみなされる。宅建免許を受ける必要ないから宅建法の免許規定は適用されない。しかし、宅建免許関係を除き宅建業者と同様に宅建法が適用されるので、宅建業者と同じ重要事項説明する義務がある。みなし宅建業者として信託銀行、信託会社がある。

 適用除外者には宅建法は全く適用されない。このため、宅建法の制限を受けずに自由に宅建業することができる。宅建法は適用されないから当然に宅建業するときでも重要事項説明する必要はないし義務もない。適用除外者として国と地方公共団体だけでなく、公的法人であるUR都市機構や地方住宅供給公社などの特殊法人が多数存在している。

 また、宅建業者ではない者には、宅建法は適用されず重要事項説明義務もないので、無免許営業する者に重要事項説明義務は生じない。


◯宅建法の重要事項説明義務に、例外規定は存在しないから、説明義務があるときは、必ず説明しなければならない。
◯宅建法の重要事項説明義務は、宅建法が適用される者にだけ課されている義務であるから、宅建法が適用されない者がする宅建業においては重要事項説明義務はない。
◯宅建法の重要事項説明義務は、宅建業するときだけ課される義務であるから、宅建業者の行為でも、非 宅建業のときは重要事項説明義務が生じることはない。
◯宅地建物の売買契約において、媒介(代理)者が関与することなく、一般私人が売主であるとき、一般私人に宅建法は適用されないので売主は重要事項説明する必要はない。
◯宅地建物の貸借契約において、宅建業者が貸主となるときは、宅建業ではないため、借主に重要事項説明する必要はない。
◯宅地建物の買主は重要事項説明する義務はない。宅建業者であっても買主であれば説明する必要ない。
◯駐車場契約は、宅地建物の貸借ではなく駐車場施設の利用契約であるから、宅建業者が媒介(代理)しても宅建業にならないので重要事項説明する必要はない。
◯賃貸借契約の更新契約は、賃貸管理業であって宅建業ではないから、宅建業者が関与しても重要事項説明する必要はない。
◯宅地建物の贈与契約に宅建法は適用されないので、これに宅建業者が関与しても宅建業にならないため重要事項説明する必要はない。
◯宅建法の宅地建物に該当しない不動産取引に宅建業者が関与しても、宅建業にならないので重要事項説明する必要はない。

■次の場合、どう対応すべきか考えてみよう。
◯買主から重要事項説明はいらないと言われたらどうする。◯法人契約では誰に対して説明したらいいのか。◯買主が外国人の場合に日本語でいいのか。◯一人だけの宅建取引士が急病になったらどうするか。◯郵送やインターネットでのビデオ配信でも可能か。



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