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借地と底地の交換に係る媒介報酬 [不動産関係]

借地と底地の交換に係る媒介報酬
(音声はこちら「宅建契約の話」)

 宅地建物の交換契約を媒介したときの媒介報酬額は、交換する宅地建物のうち、高額な方の宅地建物の価格を売買価格として、売買契約の媒介と同じ方法で算出した額を上限として、双方から受領できる。
つまり、当事者の一方から受領できる額の上限は、3%+6万円+消費税である。

代理のときは、依頼者から受領できる額は、高額な宅地建物の価格×6%+12万円+消費税が上限である。
この場合、当事者の双方から受領するときでも、双方から受領する額の合計額の上限は、6%+12万円+消費税である。

 なぜ、双方の宅地建物でなく、片方の宅地建物だけで算出するのかは、売買契約と交換契約の違いを比較すればいい。
売買契約とは宅地建物の対価を金銭で支払うことであり、
交換契約とは宅地建物の対価を宅地建物で支払うものだからです。
売買と交換の法律効果は同じであり、対価を金銭で払うか宅地建物で払うかの違いだけですから、交換における報酬額は片方の宅地建物価格で算出しても不思議ではないのです。
 では、なぜ、高額な方の宅地建物の価格で算出するのかといえば、低額な不動産を提供する側は交換差金を支払ったり、諸経費を負担することにより、双方の負担額を調整して交換されるからです。宅地建物の価格だけであれば価格を算出しやすいからです。

 借地人と地主とで、借地権と底地権(所有権)を交換し、両者が完全な所有権を取得する交換契約を媒介したときの媒介報酬額は、どのように考えればいいのだろうか。
交換の対象となる宅地の更地価格と借地権割合を特定する必要があります。事例で説明します。
◯借地面積
100坪
◯更地価格
3000万円(30万円/坪)
◯借地権割合
借地権60%(1800万円) 底地権40%(1200万円)
◯交換後の所有面積割合
借地人60%(60坪)、地主40%(40坪)
◯等価交換(交換差金なし)とします。

 この場合、交換前のそれぞれの持分価格は、借地人が有する借地権価格が1800万円(3000万円×60%)で、地主が有する底地価格が1200万円(3000万円×40%)です。
 これを等価交換するときは、借地人は借地権のうち60%を残し、40%(720万円)を地主に提供し、地主は底地のうち40%を残し、60%(720万円)を借地人に提供することになります。
 この結果、借地権は消滅し、借地人は60坪の所有権を取得し、地主は40坪の所有権を取得することになります。

 この場合の交換対象地は、借地権の40%と底地権の60%です。交換価格は同額になり720万円です。
このため、媒介報酬額の上限は、720万円を基準として算出することになります。つまり、720万円×3%+6万円+消費税です。

誤った考え
 ① 上記の取引に関する媒介報酬で、借地権価格を基準に算出した報酬(1800万円×3%+6万円+消費税)を請求した事例がありました。これだと、借地権の全部と底地権の全部を交換したことになり、借地人が地主になり、地主が借地人になってしまいます。
 ② 二つの売買契約があったとし(借地権40%の売買契約と底地権60%売買契約)、それぞれの媒介報酬額を算出し、それを加算した額を受領した事例。これは上限額を超えてしまいます。

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