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マンション売買契約のオプション契約 [不動産関係]

マンション売買契約のオプション契約 
 
新築マンションの販売は、未完成物件(建築工事の着工前、建築工事の途中)の販売が一般 的になっている。この場合、標準のマンション売買契約を締結した上で、さらに買主の要望 などによる追加工事契約(付随的契約。オプシヨン契約とかカスタマー契約などと称している)で、内装や間仕切りの変更、家具や備品の取り付けなどに係る工事請負契約を締結すること広く行われている。  この追加工事の請負契約をどう位置づけるかによって、特に売買契約の解除に関して大きな差異が生じる。マンションの売買契約と工 事請負契約は一体不可分の契約なのか、別々に存続する契約なのか。つまり、マンションの売買契約が解除された場合に、追加工事の費用と原状回復に要する費用を、買主が負担しなければならないかについて、どのように解釈すべきかの問題が存在している。 そこで、追加工事契約の実態はどうなのか 

 ① マンション売買契約の存在を前提として締結される(購入者以外の者との契約は存在しない。)。
② 未完成物件売買の契約に特有な契約形態である(工事の進行状況から一定期間経過後は追加工事契約を受けない)。 
③ 追加工事契約に任意性がない(特定の業者と特定工事内容の契約に限定されている)。
④ マンション工事完了時における形状や構造についての変更や追加に関する契約である。
⑤ マンション売買契約が解除されると、追加工事契約は存在意義を失う契約である。
⑥ マンションの売買価格に比べ、著しく低額な工事請負契約である。
⑦ 有償契約(工事費用を支払う)である。

本来はマンションの青田売りの売買においては、各室の完成時の形状や構造及び売買代金を明確にし て、重要事項説明書や売買契約書は各買主ごと(各室ごと)に作成すべきところ、マンション販売は大量同時販売であることから、マンション一棟全室の契約書等を定型化し、各部屋ごとの完成時の状態(それぞれの買主からの要望等による変更)については追加工事契約により対応しているのが実態といえる。

販売当初から追加工事契約することを予定しながら、本来なすべきマンション完成時の状況に応じての各買主との個別契約手続きをしない未完成マンション売買契約は、追加の工事請負契約を締結した時点で、追加工事契約を吸収した新たなマンション売買契約(売買契約に請負契約による内容を追加したもの)に変更(更改)されると考えるべきであって、マンション売買契約とは別に工事請負契約が成立した考えるべきではない。このように解釈することにより、マンション売買契約が解約されても、工事請負契約が残存するという不可解な現象を回避することができる。 

このことから、マンション売買契約の解除に際しては、マンション売買契約(当初のマンション売買契約) の約定が適用され、形式的に追加した工事請負契約等に特段の約定があっても、その約定は契約の当事者を拘束するものではないと考えられる(消費者契約法の問題にもなる)。そこで、手付放棄でマンション売買契約を解約するときは、マンション売買契約に基づく手付を放棄すれば足り、工事費用や原状回復費用を支払う必要はない。さらに住宅ローンの不成立による白紙解約の場合には、何らの費用をも負担する必要はないことになる。工事費や原状回復費用を支払わなければならない根拠がないことになる。 

民法が制定された明治時代に、建築工事に着工すらしていないマンションの青田売りを想定した人がいただろうか?

 (改訂予定・作業中 20190527)
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