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宅建法案内  宅建業できる者 [宅建法案内]

宅建法案内 宅建業できる者
(音声はこちら「宅建契約の話 」)

 宅建業は免許制度である。このため法律で認められた者を除き、宅建免許を受けないで宅建業することは禁じられている(第12条)。このため、宅建業を適法に営むことができる者は、次の①②③の三者に限られる。

① 宅建業者(宅建免許を受けた者)。
② みなし宅建業者(国土交通大臣へ届出すれば宅建業できる者)。
③ 宅建法の適用除外者(宅建法が適用されない者、宅建法を無視できる)。

「宅建業者」は、宅建免許を受けることにより宅建業が許される者である。個人でも法人でも、知事免許でも大臣免許でも免許の効力は全て同じで、事務所の所在地に限定されることなく日本全国どこでも宅建業できる。

「みなし宅建業者」は、免許制度の例外として、国土交通大臣に届出することにより宅建業できる者であることを、宅建法で認められた者である。
信託会社と信託銀行がある。宅建業者とみなされるものであるから、宅建業務に宅建法が適用され、宅建業者と同じ規制を受ける。
 しかし、宅建免許を受けていないので、宅建免許に関する規定は適用されない。
 なお、単に宅建業者というときは「みなし宅建業者を含めて」宅建業者と呼ぶことになる。

「適用除外者」とは、宅建法が全く適用されない者である。宅建法なんか関係ないと主張でき、宅建免許を受けることなく自由に宅建業を営むことができる者である。
当然にめんどうな重要事項説明などはする必要もない。宅建法で定めている国と地方公共団体だけでなく、それぞれの法律による特殊法人である、UR都市機構や地方住宅供給公社、など多数ある。

 宅建業法の業務規制は、宅建業が許される者のうち、宅建法が適用される者に対してだけに適用して、規制するものであるから、宅建業者とみなし宅建業者にだけ適用される。

適用除外者には宅建法は適用されないので、宅建法違反の行為があっても、何らの規制もできない。
また、宅建業が禁止されている者の行為についても規制はできない。
禁止していることに矛盾することになるからである。
例えば、無免許で宅建業する者に重要事項説明の義務を課せば、無免許での宅建業を許す結果になり、禁止することと矛盾することになるからである。

 また、宅建法は宅建業にだけに適用される法律であり、宅建業に該当しない行為には適用されない法律である。
このため、宅建業者が非、宅建業するときは宅建法の規制は受けないし、順守する必要もない。つまり、宅建業者であっても非、宅建業に関しては一般人と同じ扱いである。
 例えば、宅地建物を自ら賃貸することは、不動産業に該当しても宅建業ではないため宅建法が適用されることはない。宅建業者が貸主となる場合でも変わりはないため、貸主である宅建業者は宅建法を順守する必要はない。

 宅建法は、宅建取引契約に関しての特別法である。
宅建取引は私法契約関係であり、民法の規定が適用されるところ、
宅建業者の行為については宅建法が優先的に適用される。
宅建法を強制的に適用したり、当事者間の合意内容を修正したり無効にする規定もある。

 例えば、宅建業者が売主となる宅地建物の売買契約においては、契約解約するときの違約金を売買代金の30%相当額に定めても、20%を超える部分は無効になる。たとえ発生した損害額が30%相当額であっても20%相当額を超える額を支払う必要はない。

無免許営業について
 無免許営業の禁止は、免許がない者が「宅建業者らしく振舞って」宅地建物の取引を反復継続することである。宅建業者らしく振舞う行為についての判断基準は、社会通念に照らして判断され、
自ら所有する宅地建物の取引であるか、他人が所有する宅地建物の取引によるものかにより異なる。所有者には自らの意思で自由に売却や管理できる権利があるが、他人が所有する宅地建物にはその権利がないことからくる違いによる。

◯自ら所有している宅地建物について
①宅建業者に媒介依頼し、所有者が宅建業に全く関与しない。ただし、契約締結行為と履行行為ついては関与せざるを得ない。
②全ての宅建業行為は宅建業者だけが行い、
③増収目的の改良行為等すことなく現状で売却する。ただし、土地の分割行為はやむを得ない。
以上の三つの条件を満たせば、複数の宅地建物を売却しても無免許営業にはならない。

なぜなら、私有財産制度において、所有者みずから宅地建物を処分することは自由であるから、宅建法の規制は一歩後退せざるを得ないからである。
宅建業に関与することなく営利目的と疑われる改良工事等もすることなければ、社会通念からみても宅建業していると認識されことも宅建業者であるとの誤認を与えることもない。
また、取引には媒介の宅建業者が関与するので取引の安全性や公正性は保たれ宅地建物取引市場を乱すこともなく、宅建法の保護法益も保たれるからである。

◯他人が所有する宅地建物について
 他人が所有する宅建取引に関与することは、報酬を目的であることが推測される。たとえ無報酬でも宅建業が禁じられている者は、他人の宅建取引に関与すべきではない。宅建業は営利目的の有無を問わないとする考えが通説である。
売買であれ貸借であれ、他人の宅建取引に関与することが許されるのは、取引当事者と特別な関係にある者で特段の事情あるときに限られる。
このため、1回限りであれば宅建業に該当しないから許されても繰返し行うことは許されない。
宅建業者と共同で関与するとしても取引の公正性が損なったり宅建取引市場を乱す恐れがあり、宅建法の保護法益に反することになる。無免許者が他人の所有する宅建取引に関与することには厳格に対処することになる。

 

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