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宅建業務の一部委託は可能か [不動産関係]

最近、宅建業の効率的な運営のため、宅建業務の煩雑・不得意な業務を他業者に委託できないかを検討する動きがある。複数の宅建業者が関与する大規模マンションの建設販売においては、宅建業者間で得意な分野の業務をそれぞれ分担する。この場合は、宅建業者間での業務の分担であるから、業務の遂行についての問題は生じないし、望ましいことでもある。

では、宅建業務の一部を、宅建免許を受けていない企業や個人に委託できるかとなると、宅建業法に照らし、業務内容により判断することになる。実質的な無免許営業は許されないからである。

宅建業法は、顧客(取引の相手方等)を保護するため無免許での営業を禁じている。営業とは業務行為の全般を指すものであるが、とりわけ宅建業務の基本業務は宅地建物の取引行為であり接客業務である。この接客業務は、宅地建物の取引にかかる、意思表示についての誘引行為、意思表示を発信する行為、意思表示を受領する行為と考えられる。このため、宅建業務に係る業務のうち、取引行為と密接な関係にある、接客業務や対話業務(いずれも通信機器等の方法による場合も同じ)は、無免許者に業務委託することは禁じられると考えられる。

このことから、宅建免許を受けていない企業や個人に委託できる業務は、宅建業務に関して、顧客との間で接客や対話することがなく遂行できる業務(顧客に接触することなく遂行できる業務で、取引行為から分離して遂行できる業務)で、かつ、分離された業務に限られる。
 宅建業者は、当然、委託した業務についても取引の相手方に責任を負わなければならない。


※ ○は委託可能、×は委託できない、△は有資格者に可能

物件調査(○物件調査、○法令制限調査)
媒介契約(×勧誘行為、×契約締結、×契約書交付、×取引状況報告 ○レインズ登録申請、)
広  告(○広告作成・配付、○パンフレット作成・配付、○ネット広告・サイト運営、)
接客対応(×物件問合対応、×契約条件説明、×価格交渉、△苦情・トラブル対応)
物件案内(×現地案内、×物件説明)
重要事項(○説明書作成、×主任者記名押印、×重要事項説明)
契約締結(×勧誘行為、×契約内容説明、×契約締結、×署名押印、×契約書交付)
ローン手続(△ローン内容説明、○書類作成、○申込代行、△抵当権設定登記申請)
代金支払等(×代金授受、×受取証書発行)
引渡行為等(×占有引継、×鍵引継、△移転登記申請)
瑕疵担保等(○アフター・サービス、○不具合・瑕疵の修理等)



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